自分用ショックアブソーバー

あたしに於いて正しい判断は皆無
だってどれをとっても逐一後悔できる
もはや才能
そんなあたしにおすすめのこれだよ。
(量子力学云々の難しい理屈はひとつもわかりませんが)


生きてゆく上で何かを選択するたびに世界は分岐し
そこにあった可能性の数だけ生まれる並行世界


何かを投げやりに放棄したり
何かを焦り気味に選び取ったり
自堕落に流されるまま身を任せたり
無性に抗いたくなって遡上したり


過去におけるそこかしこでの判断
それに基づく行動の結果、結果、結果
それらすべての収束地点としての枝先
それが、ここ。いま。あたし。


そのそこかしこでの選択の瞬間が分岐点
そこから世界は枝分かれする


分岐の先でまた分岐し無数に形成された並行世界
それぞれに伸びる枝の上を生きる何人もの「私」


いまいるここでは成立しなかった物事
遠くなった人たち
こうなったあたし
別の世界ではこことは異なる環境下で
こことは違う誰かたちと
どうにかなったあたし
あらゆるパターンが存在する


ということは
すべての物事は不成立と同時に成立し
すべての関係は破綻しながら成就した
何もかもが○でありつつ×でありつつ△でもあり
いやむしろ無かもしれないもうよくわかんない


と足りない脳と過剰気味の気持ちでくるくる紡いだところ


そうやってあたしが選び得なかったパターンを
どこかで「私」が生きてるとイメージしてみれば
なんだかもうすべてを手にしたも同然の気分
正解も不正解も幸せも不幸せもまとめて全部


後悔とやらは薄い満足に似た何かへとすりかえられ
妙な納得のもと「済」の判を捺されファイリングされる


自分というものが堅くない
後悔多めのあたしに贈る緩衝器


検証も添削もめんどくさいのでとりあえずこんな感じで